最近クラフトビール界隈で話題のヘイジーIPA。濁った見た目が特徴的なこのビールは、通常のIPAとは違い苦みが控えめでフルーティーな味わいが魅力です。
アメリカで大ブームを起こし、日本でも人気急上昇中のヘイジーIPAについて、その特徴から美味しさの秘密、おすすめの銘柄までご紹介します。
ヘイジーIPAってどんなビール?
ヘイジーIPAという名前を聞いたことはあっても、実際にどんなビールなのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。そもそも「ヘイジー」とは英語で「霧がかかったような」「濁った」という意味。その名の通り、見た目が濁っているのが特徴的なIPAなのです。
濁りが特徴的!ヘイジーIPAの正体
ヘイジーIPAは一見すると、「このビール、何か変質してない?」と思ってしまうほど濁っています。でも安心してください、これは品質の問題ではなく、むしろ特徴なのです。
通常のビールは透明感があり、グラスに注いだ時に向こう側が見えるものが多いですよね。しかしヘイジーIPAは、まるでオレンジジュースのように不透明で、黄金色からオレンジ色の濁った液体が特徴です。この濁りこそがヘイジーIPAの証なのです。
誕生秘話:アメリカ東海岸から始まったブーム
ヘイジーIPAの歴史は意外と新しく、2010年代前半にアメリカのニューイングランド地方(ボストンを含む東海岸北部)で誕生しました。
特にマサチューセッツ州のブルワリー「トリー・ハウス・ブルーイング」や「トリリウム・ブルーイング」が先駆者として知られています。彼らが作り出した濁ったIPAは、従来のウエストコーストスタイルのクリアなIPAとは一線を画す新しい味わいで、瞬く間にビール愛好家の間で評判となりました。
当初は地元の小さなブルワリーのみで提供されていた珍しいビールでしたが、SNSでの口コミやビールレビューサイトでの高評価により全米に広がり、今では世界中のクラフトビールシーンに影響を与えています。
呼び名いろいろ:ニューイングランドIPA、ジューシーIPAなど
ヘイジーIPAには実はいくつかの呼び名があります。最も一般的なのは「ヘイジーIPA」ですが、発祥の地にちなんで「ニューイングランドIPA(NEIPA)」と呼ばれることも多いです。
また、その果実のような味わいから「ジューシーIPA」と表現されることもあります。さらに、最近では「ヘイズ(Haze)」という略称も使われるようになってきました。
どの名前も同じスタイルを指していますが、ブルワリーによって好みの呼び方が異なるため、ビールラベルではこれらの名称が混在しています。ビールを選ぶ際は、これらの名前が付いていれば、基本的に同じタイプのビールと考えて良いでしょう。
通常のIPAとどう違うの?
ヘイジーIPAの魅力を知るには、従来のIPAとの違いを理解することが大切です。見た目だけでなく、味わいや製法にも大きな違いがあります。
見た目の違い:クリアvs濁り
最も分かりやすい違いは見た目です。従来の「ウエストコーストIPA」と呼ばれるスタイルは、琥珀色で透明感があり、グラスに注いだ時に向こう側が見えます。一方、ヘイジーIPAは名前の通り濁っていて、オレンジジュースやグレープフルーツジュースのような見た目をしています。
この違いは単なる見た目だけではなく、味わいにも直結しています。濁りの正体は、ホップの油分や酵母、タンパク質などが溶け込んだ状態で残っているためです。これらの成分が、ヘイジーIPAの特徴的な味わいを生み出しているのです。
味わいの違い:苦みvs果実感
IPAといえば「苦い」というイメージを持つ方も多いでしょう。確かに従来のIPAは、ホップの苦みが特徴的で、後味にも苦みが残るものが多いです。
対してヘイジーIPAは、苦みよりも果実のような甘さや香りが前面に出ています。マンゴー、パイナップル、グレープフルーツなどのトロピカルフルーツを思わせる香りと味わいが特徴で、「ビールなのにジュースみたい」と言われることも少なくありません。
苦みも皆無ではありませんが、従来のIPAと比べるとずっと穏やかで、後味もすっきりしていることが多いです。このため、「IPAは苦くて苦手」という方にも受け入れられやすいのが特徴です。
製法の違い:ホップの使い方が決め手
味わいの違いを生み出す最大の要因は、ホップの使い方にあります。従来のIPAでは、煮沸中にホップを加えることで苦み成分を抽出する方法が主流でした。
一方、ヘイジーIPAでは「ドライホッピング」と呼ばれる技法を多用します。これは発酵中や発酵後の冷えた状態でホップを加える方法で、苦み成分はあまり抽出されず、香り成分や果実のような風味が豊かに引き出されます。
また、使用するホップの種類も異なり、ヘイジーIPAでは果実香の強いシトラ、モザイク、ギャラクシーなどの品種が好まれます。さらに、酵母の選択や水の硬度なども、ヘイジーIPAの独特の味わいを作り出す重要な要素となっています。
ヘイジーIPAが人気の理由
ここ数年で急速に人気を集めたヘイジーIPAですが、なぜこれほど多くの人に愛されるようになったのでしょうか。その理由を探ってみましょう。
苦くないのにホップの香りが楽しめる魅力
ヘイジーIPAの最大の魅力は、「ホップの良いところだけを楽しめる」点にあります。従来のIPAでは、ホップの香りを楽しむためには強い苦みも受け入れる必要がありました。
しかしヘイジーIPAでは、ホップの持つフルーティーな香りや風味を存分に楽しみながら、苦みは控えめに抑えられています。これにより、「ホップの香りは好きだけど苦いのは苦手」という方にとって、理想的なビールとなっているのです。
ホップの品種によって、柑橘系、トロピカルフルーツ系、ベリー系など様々な香りを楽しめるのも魅力です。同じヘイジーIPAでも、使用するホップによって全く異なる香りのプロファイルを持つため、飽きることなく様々な銘柄を試すことができます。
フルーツジュースのようなジューシーな味わい
ヘイジーIPAのもう一つの大きな特徴は、その「ジューシー」な味わいです。口に含んだ瞬間、まるでフレッシュなフルーツジュースを飲んでいるかのような感覚に驚く方も多いでしょう。
この「ジューシー感」は、ホップの香り成分だけでなく、特殊な酵母や麦芽の選択、そして水質まで含めた複合的な要素から生まれています。口当たりもなめらかで、クリーミーな質感があるのも特徴です。
アルコール度数は6〜8%程度と比較的高めですが、そのアルコール感をフルーティーな味わいがうまくマスクしているため、飲みやすく感じる方も多いです。
ビール初心者でも飲みやすい親しみやすさ
「ビールは苦くて苦手」という方は少なくありません。特に日本では、ビールといえばピルスナーやラガータイプが主流で、ホップの苦みに馴染みがない方も多いでしょう。
ヘイジーIPAは、そんなビール初心者にとっても入門しやすいクラフトビールとなっています。苦みが控えめで果実感が強いため、「これ、本当にビール?」と驚く方も少なくありません。
また、見た目のインパクトも大きく、SNS映えするビールとしても人気です。オレンジ色に輝く濁ったビールは、写真映えするだけでなく、「一度は試してみたい」という好奇心を刺激します。
ヘイジーIPAが濁っている理由
ヘイジーIPAの最大の特徴である「濁り」。この独特の見た目はどのようにして生まれるのでしょうか。
製法の秘密:ドライホッピングとは?
ヘイジーIPAの濁りを生み出す最大の要因は、「ドライホッピング」と呼ばれる製法です。これは煮沸工程ではなく、発酵中や発酵後の冷えた状態でホップを大量に加える方法です。
通常のビールでは、煮沸中にホップを加えることで苦み成分(アルファ酸)を抽出しますが、ドライホッピングでは苦み成分はあまり溶け出さず、代わりにホップの香り成分や油分が溶け込みます。
このホップの油分が液体中に浮遊することで、ビールに濁りが生じます。さらに、ヘイジーIPAでは通常のビールよりもはるかに多量のホップを使用するため、その濁りはより顕著になります。
材料の違い:特別な麦芽とホップの組み合わせ
ヘイジーIPAの濁りは、ホップだけでなく使用する麦芽の種類にも関係しています。特に小麦麦芽やオーツ麦(燕麦)を多く使用することが特徴です。
これらの穀物には、タンパク質やβ-グルカンと呼ばれる成分が多く含まれており、これらがビールに溶け込むことで濁りと共に、なめらかでクリーミーな口当たりを生み出します。
また、使用するホップも重要です。シトラ、モザイク、ギャラクシー、エルドラドなど、果実香の強い品種が好まれます。これらのホップは油分も多く含んでおり、濁りの形成に寄与すると同時に、豊かな果実香をビールに与えます。
濁りが生み出す独特の口当たり
ヘイジーIPAの濁りは、単に見た目だけでなく、味わいにも大きく影響しています。ホップの油分や麦芽のタンパク質などが液体中に浮遊していることで、口に含んだ時の感触が大きく変わるのです。
通常のクリアなビールと比べると、ヘイジーIPAはより「厚み」のある口当たりを持っています。まるでフルーツスムージーのようななめらかさがあり、「ジューシー」という表現がぴったりの質感です。
また、これらの浮遊成分がホップの香り成分を包み込むことで、香りの持続性も高まります。グラスに注いだ瞬間から立ち上る豊かな香りは、最後の一口まで楽しむことができます。
おすすめヘイジーIPA 8選
ヘイジーIPAの魅力が分かったところで、実際に試してみたいと思う方も多いでしょう。ここでは、国内外の特におすすめのヘイジーIPAを紹介します。
国産ブランドの実力派
日本のクラフトブルワリーも、ヘイジーIPAの製造に積極的に取り組んでいます。国産ならではの繊細な味わいを持つ銘柄も多く、輸入品に負けない品質のものが増えています。
1. 伊勢角屋麦酒「ニューイングランドIPA ねこにひき」
三重県の老舗ブルワリー「伊勢角屋麦酒」が手掛ける「ねこにひき」は、日本のヘイジーIPAの先駆けとも言える存在です。その名前の由来は、「猫に引かれて通うように、何度も飲みたくなる」という意味が込められています。
シトラホップを中心に使用し、マンゴーやパイナップルを思わせるトロピカルな香りが特徴です。苦みは控えめで、フルーティーな甘さとジューシーな口当たりが楽しめます。アルコール度数は6.5%と飲みやすい設定になっています。
日本のクラフトビアコンペティションでも受賞歴があり、国産ヘイジーIPAの代表格として広く認知されています。
2. Far Yeast「Hop Frontier -Juicy IPA-」
東京を拠点とするFar Yeastブルーイングの「Hop Frontier」シリーズの中から、ジューシーIPAとして販売されているこのビールは、日本のヘイジーIPAの中でも特に人気の高い一本です。
アメリカ産のホップをふんだんに使用し、柑橘系とトロピカルフルーツの香りが豊かに広がります。濁りも適度で、クリーミーな口当たりと程よい苦みのバランスが絶妙です。
缶ビールとして全国のクラフトビール専門店やオンラインショップで比較的入手しやすいのも魅力です。アルコール度数は6.0%で、初めてヘイジーIPAを試す方にもおすすめできます。
3. うちゅうブルーイング「PULSER」
大阪のブルワリー「うちゅうブルーイング」の看板ビール「PULSER」は、日本のヘイジーIPAの中でも特に評価の高い一本です。
シトラ、モザイク、シムコーなどのホップを使用し、パッションフルーツやマンゴーを思わせる香りが特徴です。濁りも強く、見た目からして本格的なヘイジーIPAの風格を備えています。
口当たりはなめらかでクリーミー、アルコール度数は6.5%と標準的ですが、そのフルーティーな味わいに隠れて飲みやすく感じます。関西圏を中心に人気のブルワリーですが、全国のクラフトビール専門店でも見かけることがあります。
海外の定番ヘイジーIPA
ヘイジーIPAの本場、アメリカやヨーロッパのブルワリーが手掛ける銘柄も、日本で比較的手に入りやすいものを中心に紹介します。
4. ブリュードッグ「HAZY JANE」
スコットランドのクラフトブルワリー「ブリュードッグ」の「HAZY JANE」は、日本でも比較的入手しやすい輸入ヘイジーIPAの一つです。
シムコー、モザイク、シトラなどのホップを使用し、パイナップルやマンゴーの香りが豊かに広がります。濁りも適度で、クリーミーな口当たりと程よい苦みのバランスが取れています。
アルコール度数は7.2%とやや高めですが、そのフルーティーな味わいに隠れて飲みやすく感じます。大手量販店やオンラインショップでも比較的手に入りやすいのが魅力です。
5. ストーン「ヘイジーIPA」
アメリカのクラフトビール界の巨匠「ストーン・ブルーイング」が手掛ける「ヘイジーIPA」は、アメリカンクラフトビールの王道とも言える一本です。
レモンやトロピカルフルーツの香りが特徴で、ストーンの他のIPAと比べると苦みは控えめですが、しっかりとしたホップの存在感があります。濁りも適度で、見た目も美しいヘイジーIPAです。
アルコール度数は6.7%で、日本の輸入ビール専門店やオンラインショップで入手可能です。
6. ニューベルジャン「ブードゥー レンジャー ジューシー ヘイズ」
アメリカのコロラド州を拠点とする「ニューベルジャン・ブルーイング」の「ブードゥー レンジャー ジューシー ヘイズ」は、アメリカで最も人気のあるヘイジーIPAの一つです。
6種類のホップを使用し、マンゴー、グアバ、パイナップルなどのトロピカルフルーツの香りが豊かに広がります。濁りも強く、見た目からして本格的なヘイジーIPAです。
アルコール度数は7.0%で、日本でも輸入ビール専門店で見かけることがあります。
7. トリリウム「METTLE」
ヘイジーIPAの発祥地として知られるマサチューセッツ州のブルワリー「トリリウム・ブルーイング」の「METTLE」は、本場のヘイジーIPAを代表する銘柄の一つです。
シトラ、モザイク、エルドラドなどのホップを使用し、オレンジやマンゴーの香りが特徴です。濁りも強く、クリーミーな口当たりとジューシーな味わいが楽しめます。
アルコール度数は7.2%とやや高めですが、そのフルーティーな味わいに隠れて飲みやすく感じます。日本では入手が難しい場合もありますが、専門店やオンラインショップで見かけることがあります。
8. ウェルドワークス「Juicy BITS」
コロラド州のブルワリー「ウェルドワークス・ブルーイング」の「Juicy BITS」は、アメリカのビール評価サイトで常に高評価を得ている人気のヘイジーIPAです。
モザイク、シトラ、エルドラドのホップを使用し、オレンジやグレープフルーツの香りが豊かに広がります。濁りも強く、見た目からして本格的なヘイジーIPAの風格を備えています。
アルコール度数は6.5%と標準的で、日本では入手が難しい場合もありますが、専門店やオンラインショップで見かけることがあります。
ヘイジーIPAの楽しみ方
せっかくのヘイジーIPAですから、その魅力を最大限に引き出す飲み方で楽しみたいものです。ここでは、ヘイジーIPAをより美味しく楽しむためのポイントを紹介します。
適切な温度と注ぎ方のコツ
ヘイジーIPAは、あまり冷やしすぎないことがポイントです。冷蔵庫から出してすぐの氷点下に近い温度では、香りや味わいが十分に感じられません。理想的な温度は7〜10℃程度。冷蔵庫から出して10分ほど常温に置いてから飲むと、香りが立ち、味わいも豊かに感じられます。
注ぎ方にも少しコツがあります。ヘイジーIPAは泡立ちが良いビールが多いので、グラスを傾けてゆっくりと注ぐのがおすすめです。最後の一滴まで注ぎきるのではなく、缶や瓶の底に少し残すことで、酵母の沈殿物が混ざるのを防ぎます。
使用するグラスは、上部が少し狭まったIPA専用グラスやチューリップ型のグラスが理想的です。これらのグラスは香りを集める効果があり、ヘイジーIPAの豊かなアロマを楽しむのに適しています。
相性のいい食べ物とのペアリング
ヘイジーIPAは、そのフルーティーな味わいから様々な料理と相性が良いビールです。特におすすめなのは以下のような料理です。
スパイシーな料理:ヘイジーIPAのフルーティーな味わいは、タイ料理やメキシコ料理などのスパイシーな料理の辛さを和らげる効果があります。特にココナッツミルクを使ったタイカレーとの相性は抜群です。
シーフード:エビやカニ、ホタテなどの甘みのある魚介類とヘイジーIPAは非常に相性が良いです。特にシトラスの風味が強いヘイジーIPAは、レモンを絞ったシーフード料理と響き合います。
チーズ:クリーミーなブリーチーズや、塩気のあるブルーチーズなどとヘイジーIPAを合わせると、チーズの濃厚さとビールのフルーティーさが絶妙なバランスを生み出します。
フルーツ:マンゴーやパイナップルなどのトロピカルフルーツは、ヘイジーIPAの風味と共鳴し、より豊かな味わいを楽しめます。フルーツプレートと一緒に楽しむのもおすすめです。
飲み比べを楽しむポイント
ヘイジーIPAの魅力を深く知るには、複数の銘柄を飲み比べてみるのが一番です。飲み比べる際のポイントをいくつか紹介します。
まず、使用しているホップの違いに注目してみましょう。同じヘイジーIPAでも、シトラホップ主体のものは柑橘系の香り、モザイクホップ主体のものはトロピカルフルーツの香りが強いなど、使用ホップによって香りのプロファイルが大きく異なります。
次に、国や地域による違いも面白いポイントです。アメリカ東海岸のヘイジーIPAは濁りが強くクリーミーな口当たり、西海岸のものはやや苦みが強めなど、地域による特徴があります。また、日本のブルワリーが作るヘイジーIPAは、繊細でバランスの取れた味わいが特徴的です。
飲み比べる際は、香りの弱いものから強いものへ、アルコール度数の低いものから高いものへと順番に試すと、それぞれの特徴をより明確に感じることができます。
まとめ:ヘイジーIPAで広がるクラフトビールの新世界
ヘイジーIPAは、従来のビールのイメージを覆す、フルーティーで飲みやすい新しいスタイルのクラフトビールです。濁った見た目と裏腹に、その味わいは驚くほど洗練されており、ビール初心者からベテランまで幅広く楽しめます。
国内外の様々なブルワリーから個性豊かなヘイジーIPAが生み出されており、それぞれに異なる香りや味わいを楽しむことができます。ぜひお気に入りの一本を見つけて、クラフトビールの新しい魅力に触れてみてください。
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