Modern Times(モダン・タイムス)は、アメリカ・サンディエゴの個性豊かなチームから成るアーティスティックなクラフトブルワリーです。洗練されたパッケージデザインと、既存のビアスタイルを掛け合わせたハイブリットスタイルのビールが世界各国から高い評価を受けています。
クラフトビール好きなら一度は名前を耳にしたことがあるかもしれませんが、その魅力はパッケージの美しさだけではありません。伝統的なビアスタイルに現代的な解釈を加え、独自の世界観を表現するModern Timesのビールは、味わいの複雑さと飲みやすさを両立させた逸品揃い。
この記事では、Modern Timesの誕生秘話から、おすすめのビール、日本での入手方法まで詳しくご紹介します。アメリカのクラフトビールに興味がある方も、新しい味わいを探している方も、ぜひ最後までお付き合いください。
Modern Timesの誕生秘話
ストーンブリューイングからの独立物語
Modern Timesの創業者ジェイコブ・マッキーは、アメリカクラフトビール界の重鎮ストーンブリューイングで働いていた経歴の持ち主です。ストーンでの経験を積んだマッキーは、2013年に自らの理想とするビールを造るため、独立してModern Timesを設立しました。
「既存のスタイルにとらわれず、自分たちが飲みたいと思うビールを造る」という明確なビジョンを掲げたマッキーの挑戦は、サンディエゴのビール愛好家たちの心を掴みました。彼の情熱と専門知識は、短期間でModern Timesを地元で愛されるブルワリーへと成長させる原動力となりました。
クラウドファンディングで実現した夢
Modern Timesの設立には、クラウドファンディングという当時としては珍しい資金調達方法が用いられました。2013年、Kickstarterで行われたキャンペーンでは、目標額を大きく上回る65,000ドル以上を集めることに成功。この出来事は、まだビールを一滴も販売していない段階で、多くの人々がModern Timesのコンセプトに共感していたことを示しています。
支援者たちには、限定ビールやグッズなどのリターンが約束されましたが、彼らが本当に求めていたのは、新しいビールの世界を切り開くModern Timesの挑戦に参加することだったのでしょう。この「ファンと共に歩む」姿勢は、今日までModern Timesの企業文化として根付いています。
ブルワリー名の由来とその意味
「Modern Times」という名前には、深い意味が込められています。この名称は、1850年代にニューヨーク州に存在した空想的社会主義のコミュニティに由来しています。自由と創造性を重んじるこのコミュニティの精神は、ブルワリーの哲学と見事に重なります。
また、チャップリンの名作映画「モダン・タイムス」からのインスピレーションも受けており、既存の枠組みに挑戦する姿勢を表しています。ビールの名前やラベルデザインにも、こうした歴史的・文化的な要素が随所に取り入れられており、単なるビールブランド以上の奥行きを感じさせます。
個性派揃いのブリューイングチーム
実力派醸造家たちの集結
Modern Timesの醸造チームは、アメリカ各地の有名ブルワリーで経験を積んだ実力者たちで構成されています。彼らはそれぞれ異なるバックグラウンドを持ちながらも、「既存の枠にとらわれないビール造り」という共通のビジョンのもとに集まりました。
醸造長を務めるキム・ステンソンは、複数の受賞歴を持つベテラン醸造家で、特にIPA(インディア・ペール・エール)とサワービールの開発に力を入れています。彼女のリーダーシップのもと、チームは常に新しい味わいの探求を続けています。
「私たちは毎日、『これまでにない味わいとは何か』を考えています。時には失敗することもありますが、その過程こそが大切なのです」とステンソンは語ります。この挑戦を恐れない姿勢が、Modern Timesの多彩なビールラインナップを生み出しているのです。
多彩な経歴を持つスタッフたち
Modern Timesの魅力は、醸造家だけでなく、多様なバックグラウンドを持つスタッフたちにもあります。アーティスト、デザイナー、音楽家、料理人など、様々な分野からの人材が集まり、ビール造りに新しい視点をもたらしています。
例えば、パッケージデザインを担当するアートディレクターのアマンダ・ウィルソンは、以前はインディーロックバンドのツアーポスターを手がけていました。彼女の音楽シーンでの経験が、Modern Timesの個性的なラベルデザインに反映されています。
また、タップルームのメニュー開発を担当するのは、ベジタリアン料理の専門家。ビールと相性の良い植物性食品の研究を重ね、Modern Timesのタップルームでは肉を使わないメニューながら、ビール愛好家を満足させる料理が提供されています。
このように、ビール業界の常識にとらわれない多様なスタッフの存在が、Modern Timesの創造性を支える大きな要素となっています。
Modern Timesのビールづくりの哲学
ハイブリッドスタイルへのこだわり
Modern Timesの最大の特徴は、既存のビアスタイルを掛け合わせた「ハイブリッドスタイル」への挑戦です。例えば、ベルジャンセゾンとアメリカンIPAを融合させた「Lomaland」や、コーヒースタウトとポーターの良さを取り入れた「Black House」など、従来の分類では説明しきれない独自の味わいを追求しています。
このアプローチは、「ビールスタイルはガイドラインであって、制限ではない」というModern Timesの哲学を体現しています。伝統を尊重しながらも、そこに縛られず、新しい可能性を探求する姿勢は、多くのビール愛好家から支持されています。
「枠にとらわれない」クリエイティビティ
Modern Timesでは、醸造家たちに大きな創造的自由が与えられています。定期的に開催される「実験醸造の日」では、スタッフが思い思いのアイデアを形にする機会があり、そこから生まれたレシピが正式なラインナップに加わることも少なくありません。
また、音楽や映画、文学などからインスピレーションを得たビールも多く、文化的な要素と醸造技術が融合した独自の世界観を構築しています。この自由な創造性こそが、Modern Timesのビールに唯一無二の個性をもたらしているのです。
香り高く複雑な味わいの追求
Modern Timesのビールづくりにおいて、香りは特に重視される要素です。最高品質のホップや、独自にブレンドしたコーヒー豆、季節のフルーツなど、厳選された素材を使用し、複雑で豊かなアロマを実現しています。
例えば、フラッグシップビールの一つ「Fortunate Islands」では、モザイクとシムコーという2種類のホップを使用し、トロピカルフルーツを思わせる香りと、軽やかな飲み口を両立させています。また、「Black House」では、自社でローストしたコーヒー豆をブレンドし、スタウト特有の重さを感じさせない、香り高い一杯に仕上げています。
このように、香りと味わいのバランスを絶妙に調整する技術が、Modern Timesのビールの魅力を高めているのです。
Modern Timesのおすすめビール5選
Fortunate Islands – トロピカルな魅力のペールエール
「Fortunate Islands」は、Modern Timesを代表する看板ビールの一つです。技術的にはホッピーウィートエールに分類されますが、その味わいは従来のウィートエールとは一線を画しています。
アルコール度数は5%と控えめながら、モザイクとシムコーホップの組み合わせにより、マンゴーやパッションフルーツを思わせるトロピカルな香りが豊かに広がります。小麦由来のふんわりとした口当たりと、ホップの爽やかな苦みが絶妙なバランスで調和し、何杯でも飲みたくなる魅力があります。
暑い夏の日に冷やして飲むと格別ですが、フルーティーな香りは季節を問わず楽しめます。ビール初心者にもおすすめできる、Modern Timesの入門編としても最適な一本です。
Fruitlands – 伝統と革新が融合したゴーゼ
「Fruitlands」は、古代ドイツのビアスタイル「ゴーゼ」をベースに、現代的な解釈を加えたフルーツサワーです。伝統的なゴーゼの特徴である塩味と乳酸菌由来の酸味に、季節のフルーツを加えることで、複雑で奥行きのある味わいを実現しています。
バリエーションも豊富で、パッションフルーツ&グアバ、ブラッドオレンジ&ハイビスカス、ブラックベリー&ブラックカラントなど、季節ごとに異なるフレーバーが楽しめます。アルコール度数は4.8%と低めで、すっきりとした飲み口ながら、フルーツの風味が口いっぱいに広がる贅沢な一杯です。
ビール苦手な方や、フルーティーな味わいを好む方にもおすすめできる、Modern Timesの革新性を感じられるビールです。
Ice – 爽やかさと華やかさを兼ね備えたピルスナー
「Ice」は、チェコスタイルのピルスナーをModern Times流に解釈した一品です。伝統的なピルスナーの清涼感を保ちながら、アメリカンホップの華やかな香りを加えることで、クラシックとモダンの融合を図っています。
使用されるのは、チェコ産のザーツホップとアメリカ産のシトラホップ。この組み合わせにより、古典的なピルスナーの草のような香りと、柑橘系の爽やかな香りが絶妙に調和しています。アルコール度数5.2%、クリアな黄金色の液体からは、パンのような麦芽の香ばしさも感じられます。
キレのある後味は食事との相性も抜群で、特にスパイシーな料理や、シーフードとの組み合わせがおすすめです。クラフトビールに馴染みのない方でも親しみやすい味わいながら、ビール通をも唸らせる奥深さを持っています。
Octagon City – フルーツの甘酸っぱさを楽しむベルリナーヴァイセ
「Octagon City」は、ドイツ・ベルリン発祥の酸味のあるビール「ベルリナーヴァイセ」をベースにした、フルーツサワーです。伝統的なベルリナーヴァイセよりもやや酸味を抑え、代わりにフルーツの自然な甘みを前面に出した設計になっています。
アルコール度数は3.8%と非常に軽く、ブランチや昼間の飲み物としても最適。ラズベリーとパッションフルーツを加えたバージョンでは、フルーツの鮮やかな赤色と、ほのかな酸味が特徴です。乳酸菌による発酵で生まれる複雑な風味と、フルーツの甘酸っぱさが見事に調和しています。
ワイン愛好家やカクテル好きの方にもアピールする、ビールの概念を広げるような一杯です。Modern Timesの実験精神を感じられる、挑戦的な一本といえるでしょう。
Black House – コーヒーの風味豊かなスタウト
「Black House」は、Modern Timesの代表的なダークビールで、コーヒースタウトとオートミールスタウトの特徴を併せ持つハイブリッドスタイルです。最大の特徴は、Modern Times自身がローストした厳選コーヒー豆を使用している点にあります。
アルコール度数5.8%と、スタウトとしては比較的軽めの設計ながら、コーヒー、ダークチョコレート、ローストしたナッツのような複雑な風味が楽しめます。オートミール(燕麦)の使用により、なめらかでシルキーな口当たりも特徴的です。
多くのコーヒースタウトに見られる苦さや重さを抑え、飲みやすさを追求した設計は、ダークビール初心者にもおすすめ。デザートとの相性も抜群で、特にチョコレートケーキやバニラアイスクリームとのペアリングは格別です。
Modern Timesのパッケージデザインの魅力
スタイリッシュなビジュアルの秘密
Modern Timesのパッケージデザインは、クラフトビール業界でも特に高い評価を受けています。その特徴は、ポップアートとミニマリズムを融合させたような、独特のビジュアルスタイルにあります。
缶デザインは主に幾何学的なパターンや、鮮やかな色彩のコントラストを活かしたものが多く、棚に並んだ際に一目で「Modern Timesのビール」だと分かるような統一感があります。この視覚的なアイデンティティは、ブランドの認知度向上に大きく貢献しています。
デザインチームのリーダー、マイク・ソーバーグは「私たちのデザインは、ビールと同じく、伝統と革新のバランスを大切にしています。レトロな雰囲気と現代的な感覚を融合させることで、時代を超えた魅力を持つパッケージを目指しています」と語ります。
ビール名に込められた物語
Modern Timesのビール名には、文学、映画、音楽、歴史など、様々な文化的要素からのインスピレーションが反映されています。例えば「Fortunate Islands」は、カナリア諸島の古称に由来し、古代ギリシャ神話における楽園のイメージを想起させます。
「Black House」は、作家マーク・Z・ダニエレフスキーの小説「House of Leaves」へのオマージュであり、「Lomaland」はサンディエゴにかつて存在した神智学コミュニティの名前から取られています。
このように、一つ一つのビール名には深い意味や物語が込められており、単なる商品名以上の文化的な奥行きを感じさせます。ビールを飲みながら、その名前の由来を調べてみるのも、Modern Timesを楽しむ方法の一つかもしれません。
日本でModern Timesを楽しむ方法
購入できる専門店とオンラインショップ
日本でModern Timesのビールを入手するには、いくつかの方法があります。まず、クラフトビール専門店では、季節限定で取り扱われることがあります。東京では「Antenna America」や「Goodbeer Faucets」、大阪では「Beer Belly」などで、不定期に入荷されています。
オンラインでは、以下のショップで購入可能です。
| ショップ名 | 特徴 | 配送エリア |
|---|---|---|
| BREWDOG ONLINE | 定期的に入荷あり | 全国 |
| CRAFT BEER BASE | 関西最大級の品揃え | 全国 |
| Liquor Mountain | 季節限定商品も充実 | 全国 |
ただし、輸入ビールのため在庫状況は流動的です。入荷情報はSNSでチェックするのがおすすめです。また、Modern Times自体も国際配送を行っていますが、送料が高額になる点は考慮が必要です。
楽しみ方のコツとおすすめのペアリング
Modern Timesのビールを最大限に楽しむためのポイントをいくつかご紹介します。まず、適切な温度で飲むことが重要です。一般的に、ペールエールやIPAは7〜10℃、スタウトは10〜13℃程度で提供すると香りと味わいのバランスが最も良くなります。
また、グラスの選び方も重要です。「Fortunate Islands」のようなホップの香りを楽しむビールには、上部が広がったIPA用グラスがおすすめ。「Black House」のようなスタウトには、香りを閉じ込めるタンブラー型が適しています。
食事とのペアリングでは、以下の組み合わせが特におすすめです。
| ビール名 | おすすめのペアリング |
|---|---|
| Fortunate Islands | スパイシーなアジア料理、シーフード |
| Fruitlands | フレッシュサラダ、ヤギチーズ |
| Ice | 和食全般、特に天ぷらや寿司 |
| Octagon City | フルーツデザート、パンナコッタ |
| Black House | チョコレートケーキ、ビターなチーズ |
ビールの味わいを引き立てる食事と共に楽しむことで、Modern Timesの魅力をより深く体験できるでしょう。
アメリカクラフトビール界における位置づけ
サンディエゴのクラフトビールシーン
サンディエゴは、ポートランドやデンバーと並ぶ、アメリカのクラフトビールの聖地として知られています。150以上のブルワリーが集まるこの地域は、特にホップの効いたウエストコーストIPAの発祥地として有名です。
この競争の激しい環境の中で、Modern Timesは設立からわずか数年で、地域を代表するブルワリーの一つへと成長しました。その要因は、既存のサンディエゴブルワリーが得意としていたIPAだけでなく、サワービールやスタウトなど多様なスタイルに挑戦し、独自のポジションを確立したことにあります。
サンディエゴビールウィークでは常に注目を集めるブースとなり、地元のビアバーでもModern Timesの定番ビールを置くことが一種のステータスとなっています。地域に根ざしながらも、その影響力は全米、そして世界へと広がっているのです。
他のブルワリーとの比較
アメリカのクラフトビール界には、Stone、Sierra Nevada、Dogfish Headなど、歴史と実績を持つ大手クラフトブルワリーが存在します。これらと比較すると、Modern Timesは比較的新しいブルワリーながら、いくつかの点で独自の存在感を放っています。
まず、パッケージデザインの洗練度は業界トップクラス。アート性の高いラベルは、ビール以外のデザイン賞も受賞しています。また、自社でコーヒー豆のロースティングを行うなど、ビール以外の分野にも積極的に進出している点も特徴的です。
生産規模では大手に及ばないものの、限定醸造の希少性と品質の高さで、コアなファンを獲得しています。特に実験的なバレルエイジングプログラムは高い評価を受けており、限定リリースの際には長蛇の列ができることも珍しくありません。
Modern Timesは、大量生産よりも品質とクリエイティビティを重視する姿勢を貫き、「小さくても影響力のあるブルワリー」というポジションを確立しています。
まとめ:Modern Timesが愛される理由
Modern Timesは、伝統と革新のバランスを絶妙に取りながら、独自の世界観を持つビールを生み出し続けるブルワリーです。洗練されたデザイン、複雑な味わい、そして何より「既存の枠にとらわれない」という哲学が、世界中のビール愛好家を魅了しています。
日本でもじわじわと人気が高まっており、専門店やオンラインショップを通じて入手できる機会が増えてきました。サンディエゴを訪れる機会があれば、ぜひタップルームに足を運んでみてください。そこでしか味わえない限定ビールと、ブルワリーの雰囲気を直接体験できるはずです。
クラフトビールの世界は日々進化していますが、Modern Timesのようなクリエイティブな挑戦者がいる限り、その未来は明るいと言えるでしょう。
おすすめのクラフトビールサブスクはこちら!





